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意外な発見

私はその方のことを、

「自分自身のことを過小評価している方だな」

と思っていました。

なぜかといいますと、

・無理難題を繰り出す相手に合わせる。

・完璧に仕事をこなそうとする。

・忙しくてしんどいのに、スケジュールを
 どんどん入れる。

このような傾向が見て取れたからです。

症状としては、
自律神経失調症状と不安症状が
両方出ていて、
公私共に一杯一杯の状況でした。

これは精神療法だけではダメだと思って、
薬も最初から使いました。

薬を使っていなかったら、もっともっと
症状はひどくなって
仕事を続けられなくなっていたかも
しれません。

さて、嬉しいことに治療が功を奏して、
一進一退はありましたが
徐々に症状が改善してゆきました。

先日、その方の努力が実を結び、
約1年間の治療を終了出来ました。

最後の診察の際、
「良くなった理由は何でしょうね」と
尋ねてみました。

その方は、快く理由を話してくださいました。

私はさらに突っ込んで、

「では、そういう風に思えるようになった
原因は何だと思われますか?」

と質問を続けました。

そして、とても意外なことを
返事してくださいました。

「結局、これが一番大きいと思うんですが、
自分のことを、過大評価していたのが
わかったんです」と。

ええ?
過小評価ではなくて、過大評価?

驚いている私に、その方が説明して
くださいました。

「要は、たかが自分、と思ったんです」

「自分がすること一つで、そんなに大したことは
起きないと思いました」

「もし自分が何かうっかりしていても、
誰かが何とかしてくれるかもしれないでしょうし」

ある朝、ふと
「何か、自分のことを、大きく考えすぎていたんだな」
と思いついたそうです。

なるほど・・・。

一見、無責任になってしまったかのごとくですが、
かえって仕事は以前より出来るようになって
おられます。

病気になる以前に比べて変わったところは、

・10割を目指さず、7割~8割位の達成率で
 次の仕事に移る。

・受身だけではなく、自分からイニシアティブを
 取って、スケジュールを立てる。

・朝早起きして、集中的に仕事をしてしまう。

・無理なことは、断る。

こういう変化が起きています。

明らかに、バージョン・アップされていて、
あやかりたいくらいです。

もちろん、これは一人の方のお話であって、
その他の方には、またその方なりの
気持ちの整理のつけ方があろうかと
思います。

診察では色々な発見があって、interestingです。

今日はもう、10月30日というのに、
午後はクーラーをつけました。
うちは、午後になると
大変日当たりがいいのです。

それでは、またの機会に・・・。
by shin710Y | 2009-10-30 19:13 | 診察風景
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