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ある患者さんの意識の変遷

「病気が治った」というのは、分かるものなんでしょうか?

このようなご質問をよくお受けします。

私は、このような質問をされることに対して
少し不思議に思っていましたが、
病気の真っ最中の患者さんには
治るということがイメージ出来ないようです。

それは、そうですね。

病気が「治った状態」を実感としてイメージ出来るくらいなら、
その時点ですでに本当に良くなっています。

では、病気が治ったことは、どのようにして
分かるでしょうか。

病気が治ったということは、
治った時に実感としてよく分かります。

ああ、自分は本当に良くなったな、と。

医師の方から、治っていますよとデータを
見せたりして説明しなくても、自分自身で分かります。

ご参考までに、ある患者さんの病気に対する
認識の変化を、順を追ってご紹介します。

1. 何か調子が悪いのは自覚しているが
   病気だとは認識していない
     ↓
2. 病気だと知らされたが、自分ではよく分からない
     ↓
3. 病気だと段々分かったが、どうしてこんなに苦しい病気に
   なってしまったんだろうと思う
     ↓
4. この病気と付き合って行けばよい、と思うようになった
     ↓
5. 少し良くなったものの、悪い波が来て、
  「やっぱり治るわけがない」と思う
     ↓
6. 何度か波を乗り越えて、「治るだろう」と
   思えるようになってきた
     ↓
7. 過去に何度か良くなった時と比べて、
   今回は本当に良いと思える

本当に良くなったと思える理由としては、

・体調の小さな変化に気づきやすくなった
(注:気づき過ぎて、神経質になってしまう病気もあります)

・調子が良くても、ノリノリではなく落ち着いている

・よく眠れて、睡眠薬がいらなくなってきた

・感謝の気持ちが出てきた

・自分のヒストリーが体系的に見えてきた

などです。

陳腐かもしれませんが、諦めずに一つ一つ
一緒に進んでゆきましょう。
by shin710Y | 2010-02-19 20:00 | 診察風景
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