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ひとつの詩

今回は、通院中の方の詩をご紹介します。

診察時の現状報告として、わざわざ詩に書いて
来て下さいました。
こういう詩を書けるくらいですから、随分と回復された
状態です。

えーっ?診察の時には詩を書いて
持って行かないといけないんですか?

ご安心を。
当院ではそのようなシステムになっているわけでは
ございませんので。

病気になる前、病気の間の苦しみ、そして
それを乗り越えてゆくさまが一つのストーリーとして
語られています。

それでは、原文のまま掲載します。


「いしと私」

3歳の私。
まっすぐ歩くことが出来ない。
いつも転んでばかり。
なんでこんなにいしコロが多いんだろ。

4歳の私。
少しまっすぐ歩ける。
でも、転んでばかり。
まっすぐ歩けるから、歩き続けよう。

5歳の私。
転んでも立ち上がり、歩き続けて疲れてきたな。
あれっ、目の前に大きないしが見えてきた。
近づくと、私の背丈の半分くらいのいし。
どうやっても登れない。
そうだ、思い切って走って勢いをつけて飛び乗ろう!
ドーン!!!!
いしにぶつかって気を失った。

6歳の私。
目が覚めると6歳だった。
そして、頭をぶつけた後遺症で耳が聞こえなくなった。
気を失っている間、夢の中で考え続けている私がいた。
何が起きたの?どうしてこうなったの?
誰かが何かを言っている。でも聞こえない。
目の前にはあの時のいしがあった。
やっぱり、登れない。
何度も何度も同じことを繰り返した。

7歳の私。
登るのを止めた。
いしの前に座ったまま考えた。
どうやって登ろう・・・

8歳の私。
いしが少し小さく見える。
もう一度、おもいきって走ってみよう!
ドーン!!!!
いしにぶつかって気を失った。

10歳の私。
目が覚めると10歳だった。
あれっ?耳が聞こえる!
頭をぶつけたことで、耳が聞こえるようになった。
気を失っている間、夢の中で考え続けている私がいた。
何故登れないのか?どうやって登ろうか?
誰かが私に「登れるよ」と言っている。
目の前のいしが小さく見えた。
登れた!!!!!

振り返ると、3歳の頃のいし、4歳の頃のいし、今登ったいし、
大きさは同じだった。

私が成長して大きくなったんだ。

そして、歩き続けている。
たくさん、いしが目の前に現れる。
上手く登れるようになった。
疲れたら休もう。
また頭をぶつけないように・・・。


以上です。
単に病気の克服ストーリーとしてだけでなく、
心の成長というものが描かれていると思いました。

というわけで、今回は人様の頭脳をアウトソーシングして
要領よく自分のブログにしてしまいました。
ごっつぁんです。
by shin710Y | 2010-03-09 20:45 | 診察風景
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