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「励まさないで」とはいうものの

「落ち込んでいる人は、下手に励まさないほうがいい」
「うつ病の人を、『頑張れ』といって励ましてはいけない」
人口に膾炙した言葉です。
その通りだと思います。

しかし、本当に励ましてはいけないのでしょうか。
「頑張れ」という励まし方ではなく、別の励まし方がないものでしょうか。

励ますという言葉の意味は、辞書「大辞泉」によれば、「元気や勇気を出すように力づける」ことです。相手を、現在の状態からパワーアップさせることです。

こちらの意見を押し付けてパワーダウンさせるのではなく、相手にとって本当に励ましになる言葉というものはないものか。あるいは、そういう接し方はないか。

「頑張れ」という言葉には、「あなたはより一層努力すべきであり、今のあなたの努力では不十分だ」という非難の意味が含まれる場合があると思います。

非難は、相手を叩くことです。打ちのめすことによって、相手を元気付けることは難しいでしょう。発奮して、頑張る人もいるとは思いますが、いつもそうとは限りません。
タフな人、モチベーションが高い人には、いいかも知れません。
でも、半か丁か、一発ギャンブルです。
元気な状態の時にはうまく作用するかもしれませんが、少なくとも意気消沈している人にはちょっと酷な話ではなかろうか、と。

非難ではなくて、「良く頑張ってるね。良く頑張ったね」という、賞賛やねぎらい。

「良く頑張ってくれて、有難う」という、感謝。

「辛くて大変だったね」という、いたわり。

いつも、こんな風には、出来ませんね。
でも、自分が頑張ったのにうまく行かず、疲れて落ち込んだときのことを想像してみましょう。
どう言ってもらったら嬉しいでしょうか。良かれと思って、相手を傷つけてしまうことは、よくあることです。お互い様、です。でも、段々と上達出来ると思います。

実は、一番大切なのは、ただ相手の話を聴いてゆくことです。なかなか難しいことです。
言葉がけは、その次です。

診察では、お話をお聴きすることを重視しております。しかし、時間が足りなくなって半(?)強制終了になることもございます。診療時間という、来院された皆様の共有財産を最大限活用させていただくよう、これからも努力を続けてまいります。
by shin710Y | 2007-09-01 19:15 | こころの健康
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