カテゴリ:診察風景( 15 )

あっぱれです。

ある若い患者さんです。

職場で浮いてしまい、
周囲との関係が悪くなっていました。

辛くて、涙が出る毎日でした。

これ以上、仕事を続けられるかどうか、
分からないとのことでした。

大丈夫かなあ。

私は、どうアドバイスしたのか、正確に覚えていませんが、

・やれるだけのことをやってみてごらん。
・何とか乗り越えられるかもしれないし、
 たとえ結果的に乗り越えられなくても
 この取り組みは必ず後で活きてくると思います。

とまあ、取り立てて目新しいアドバイスではないのですが、
そんなことを言ったような気がします。

なお、このような状況では、どうしても勤務継続できなくなることも
決して珍しいことではありません。

関わる側としては、どこまでもあるがままの現実を見て、
その時その時の最善の道を考えていきます。

さて、1か月後の診察では。

今日は、どんな顔して来られるかなあ。
もしかして、ダメだったかも・・・。

すると、診察の第一声は
「調子いいです」

お!
すごいじゃん!

何がどうなったのかを尋ねたところ、

「いろいろとやってみたんです」

なるほど!
で、いろいろとは?

「人の嫌がることを、自分からやるようにしたんです」
「それと、みなさんに自分から積極的に挨拶するように
したんです」
「そうしたら、だんだんと認めてもらえるようになりました」

これには、感服しました。
お若いのに、何か古風な話です。

人が嫌がることを、率先して行う。
なかなか、出来ることではありません。
人が嫌がることは、人が嫌がりますので。

その患者さんは、ニコニコしていました。
私はとても爽やかな気持ちになりました。
あらま、どうしましょ。

私も、見習いたいと思います。
本当に有難うございました。
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by shin710Y | 2015-05-11 20:22 | 診察風景

因果関係の謎

自分の症状の原因が、ハッキリしない時はつらいものです。

診察していますと、これまでの経過から原因は
「まあ、これだろうな・・・」とわかっていても、
患者さんはそれにお気付きではない場合があります。

ある方は、職場の大変さを色々と説明して下さるので、
仕事が原因であることは疑いの余地がありませんでした。

①明らかに仕事による疲労が原因

しかし、ご本人の自覚はありません。
「いや、大した仕事はしてませんから」
「前のほうが、もっと大変でした」

そして、ご本人にとって原因はわからずじまいで
診察室をあとにされます。

ところが、ある時少しまとまったお休みが取れて、
体が楽になったので
「あ、やっぱり仕事で疲れていたんだ」と
納得がいったとのことでした。

それで、症状に対する不安が激減し、
調子も安定されました。

別の方の場合は、ある役員を引き受けるかどうかで、
長年悩んでこられていました。

症状も随分安定されたので、その役を
引き受けることにされました。
そして無事、やり遂げられました。お見事。

ところが、しばらくして、最近の好調さが打って変わって、
情緒不安定に。

②明らかに、役員をしたことによる疲れが不調の原因

ところが、ご本人の自覚はありません。
「いや、もう大きな行事はすんでますから」

そこで、私からはもう少し説明をしてみました。

これは、役員を終えたことによる、「荷降ろしうつ病」の
ようなものですよ。
ホッとして緊張がゆるんで、溜め込んでいた疲労が
表に溢れてきたんですよ。

仕事が済んで家に帰って、ちょっと横になってみた途端に
すごく体がだるくなって、そのまま動けなくなることがあるでしょう。

仕事=負荷が取れてOFFになったときに、
負荷がONになっていたときの疲れが出てくるんですよ。

これで、納得してもらいました。

因果関係に得心が行くと、ガクンと症状が軽くなる場合があります。

今ある症状の原因が分からない時には、
「何で、こんな風になるんだろう?」「何故?何故?あー、分からない」
という不安と混乱が加わって、もともとの症状に尾ひれがついて
雪だるま式に不安が大きくなっています。
そのため、心と体が緊張して症状が一層強くなります。

原因不明だと考えることによる不安と混乱がなくなれば、
何とか自分でも扱える範囲の症状になることがあります。

因果関係が分からないのも、症状の一つだと考えてよいでしょう。
視界が不透明になって、状況のありのままの姿が見えづらく
なっているようです。
どんな偉い人でも、疲れている時には物事を正確に判断するのが
難しくなるのではないでしょうか。

ある方は、必ずと言っていいほど同じ流れで調子を崩されて(失礼)、
水前寺清子のように奮闘努力されていました。
三歩進んで、二歩下がる、ですね!
その都度、私も同じような説明を繰り返させていただきました。

その方も、不屈の精神をお持ちです。
少しずつ、少しずつ、回復されました。

ついに、ご自分の思考・行動パターンや、それに伴う
浮き沈みの傾向を得心されたようです。

その方いわく、
「(自分で得心する前に)言われると、反発しちゃうんです」

なるほど。
大変、失礼しました。

でも、反発するのも、才能かもしれませんね。
転んでも、タダでは起きないというか。

以上、ご参考になれば幸いです。
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by shin710Y | 2011-01-28 20:50 | 診察風景

診察の進め方

当院では2,3分の診療で終わることは非常に少ないです。

ある程度診察時間をかけた方が、その後の経過が
良いというデータがあります。
薬を止めた後の再発率も低くなります。

もちろん、反対の立場もあります。

受診される方が多ければ多いほど、診察時間が反比例して
短縮化するのは理の当然です。
私も勤務医時代には、非常に苦労していました。
マジックは使えません。

ちなみに現在の当院の診察時間は、目安は15分以内です。

患者さんも色々とお話になりたいことがあるでしょう。
私からの説明にもある程度の時間が必要な場合があります。

そこで、この時間を最大限に有効活用したいと考えます。

そのために、御来院いただく方に診察の進め方を
御理解いただきたいと思っております。

1. 最初に、状態の確認をします。

 夜間の睡眠、食欲、最近の気分などをお尋ねします。

2. 次に、お話になりたいことやご相談
 (=これらをひっくるめて、「議題」と呼びましょう)がある場合は、
 議題が何点あるのかを、まず教えて下さい。

 例:「今日は、3点相談したいと思います。」

3. そして、ここが肝心なのですが、
  一番大切な問題から、お話しください。

4. 時間に余裕があれば、残りのご相談にも
  取り組んで行きます。

5. 特に議題がなければ、私の方から必要に応じて
  診察を進めていきます。

こうすれば、最大限皆様に貢献出来るかと考えます。

一番相談したいことは、実は一番話すのにためらわれる
問題である場合があります。
なかなか切り出しにくいものです。

しかし、残り時間が少ないところで最大の議題を解決するのは
非常に困難です。

ですから、御自分のために、お困りのことであればあるほど、
診察の始めにお話し下さい。

こうすれば、診察をより有効に活用出来ます。

次回の診察までに、時間はたっぷりありますから、その間に
何を診察時に話すかを簡単で結構ですからまとめる練習を
していただくことをお勧めします。

この努力を払うことは、治療上も非常に役立ちます。

・頭の中の整理整頓になる

・優先順位をつける練習になる

・要領よく自分の言いたいことを伝えるトレーニングになる

・自分をアピールする力を養う練習になる

いざ診察の時に、何を話せばいいのか忘れるのが心配な方は、
メモにキーワードだけでも箇条書きにされて持参すれば、安心です。
携帯にメモ書きされている方もいらっしゃいます。

出来るところから、始めましょう。
あまり難しく考えずに、気軽に取り組んでください。

普通に受診されてもよろしいです。
ライブ感覚の、出たとこ勝負の診察のほうが、
むしろ私の性にあっているかもしれません。

こういう作業が、全く無理な状態の方も
いらっしゃいます。
この話は義務ではありませんので、
どうぞご安心ください。

ただ、こうした工夫が出来れば
診察がより一層充実したものとなるでしょう。
あなたが失うものは、何もありません。

ある程度の分量がある場合は、私が先に全部お見せいただくこともあります。
そのほうが、口頭で述べるよりも短時間で情報が伝わります。
汚い字でも、構いません。
私のカルテよりは、綺麗だと思います。

臨機応変に診察の流れも変更は致しますが、大まかな治療構造を
まず御理解ください。

他の医療機関に受診されている方にとっても、
受診の際のご参考になれば幸いです。

日本の医療を改善するために、私たち一人一人の工夫と努力が必要です。
ハイ、こんな私で、こんなアナタから、始めてゆけるのです。
画期的な大発明を待たなくても、出来ることはある、ツーわけです。

どうぞ、よろしくお願い申し上げます。
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by shin710Y | 2010-04-24 19:07 | 診察風景

ひとつの詩

今回は、通院中の方の詩をご紹介します。

診察時の現状報告として、わざわざ詩に書いて
来て下さいました。
こういう詩を書けるくらいですから、随分と回復された
状態です。

えーっ?診察の時には詩を書いて
持って行かないといけないんですか?

ご安心を。
当院ではそのようなシステムになっているわけでは
ございませんので。

病気になる前、病気の間の苦しみ、そして
それを乗り越えてゆくさまが一つのストーリーとして
語られています。

それでは、原文のまま掲載します。


「いしと私」

3歳の私。
まっすぐ歩くことが出来ない。
いつも転んでばかり。
なんでこんなにいしコロが多いんだろ。

4歳の私。
少しまっすぐ歩ける。
でも、転んでばかり。
まっすぐ歩けるから、歩き続けよう。

5歳の私。
転んでも立ち上がり、歩き続けて疲れてきたな。
あれっ、目の前に大きないしが見えてきた。
近づくと、私の背丈の半分くらいのいし。
どうやっても登れない。
そうだ、思い切って走って勢いをつけて飛び乗ろう!
ドーン!!!!
いしにぶつかって気を失った。

6歳の私。
目が覚めると6歳だった。
そして、頭をぶつけた後遺症で耳が聞こえなくなった。
気を失っている間、夢の中で考え続けている私がいた。
何が起きたの?どうしてこうなったの?
誰かが何かを言っている。でも聞こえない。
目の前にはあの時のいしがあった。
やっぱり、登れない。
何度も何度も同じことを繰り返した。

7歳の私。
登るのを止めた。
いしの前に座ったまま考えた。
どうやって登ろう・・・

8歳の私。
いしが少し小さく見える。
もう一度、おもいきって走ってみよう!
ドーン!!!!
いしにぶつかって気を失った。

10歳の私。
目が覚めると10歳だった。
あれっ?耳が聞こえる!
頭をぶつけたことで、耳が聞こえるようになった。
気を失っている間、夢の中で考え続けている私がいた。
何故登れないのか?どうやって登ろうか?
誰かが私に「登れるよ」と言っている。
目の前のいしが小さく見えた。
登れた!!!!!

振り返ると、3歳の頃のいし、4歳の頃のいし、今登ったいし、
大きさは同じだった。

私が成長して大きくなったんだ。

そして、歩き続けている。
たくさん、いしが目の前に現れる。
上手く登れるようになった。
疲れたら休もう。
また頭をぶつけないように・・・。


以上です。
単に病気の克服ストーリーとしてだけでなく、
心の成長というものが描かれていると思いました。

というわけで、今回は人様の頭脳をアウトソーシングして
要領よく自分のブログにしてしまいました。
ごっつぁんです。
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by shin710Y | 2010-03-09 20:45 | 診察風景

深いです。

今朝は、ヒマだったんです。

パラパラ、と患者さんが来られます。

次の患者さんをお待たせする心配も、ほとんどなし。

いつもなら診療時間外に書く診断書や紹介状も、
ちょっとずつ書けました。

患者さんがお見えになったら、ゆっくりと
お話しをお聞きしました。

今朝の患者さんのお話は、
深い話しが多かったです。

普段から、深い話しは多いのだと思います。
忙しくしている時は、私がそのことにあまり
気づけていないのかもしれません。

再発見がありました。

相手に対して申し訳なかったり、有難いと思っていることを、
素直に言葉に出してみることの、大切さ。

人様から見ると、何でそんなことをするの?
と思われるようなことでも、
自分にとって本当に大切なことであれば
思い切って実行する価値がある。

失ってみて、初めて自分が何を得ていたのか
見えるものがある。

親としてではなく、年上の人間として
我が子を見ていた自分に気づいたとき、
自分も子離れが出来たんだなと
わかりました、というお話し。

その他、いろいろ。

それなりのお金を払ってセミナーを受講することには
価値があることを体験していますが、
そういうところへ必ずしも出向かなくても、

今自分の目の前にいらっしゃる方、今起こっている事柄にも
素晴らしい価値があるんだな、と
しみじみ思いました。

実際の生の姿で、まざまざとありのままの
生き様を見せてくださることに、
感謝の気持ちが湧いてきてくれました。

本当に、有難うございました。
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by shin710Y | 2010-02-26 19:52 | 診察風景

ある患者さんの意識の変遷

「病気が治った」というのは、分かるものなんでしょうか?

このようなご質問をよくお受けします。

私は、このような質問をされることに対して
少し不思議に思っていましたが、
病気の真っ最中の患者さんには
治るということがイメージ出来ないようです。

それは、そうですね。

病気が「治った状態」を実感としてイメージ出来るくらいなら、
その時点ですでに本当に良くなっています。

では、病気が治ったことは、どのようにして
分かるでしょうか。

病気が治ったということは、
治った時に実感としてよく分かります。

ああ、自分は本当に良くなったな、と。

医師の方から、治っていますよとデータを
見せたりして説明しなくても、自分自身で分かります。

ご参考までに、ある患者さんの病気に対する
認識の変化を、順を追ってご紹介します。

1. 何か調子が悪いのは自覚しているが
   病気だとは認識していない
     ↓
2. 病気だと知らされたが、自分ではよく分からない
     ↓
3. 病気だと段々分かったが、どうしてこんなに苦しい病気に
   なってしまったんだろうと思う
     ↓
4. この病気と付き合って行けばよい、と思うようになった
     ↓
5. 少し良くなったものの、悪い波が来て、
  「やっぱり治るわけがない」と思う
     ↓
6. 何度か波を乗り越えて、「治るだろう」と
   思えるようになってきた
     ↓
7. 過去に何度か良くなった時と比べて、
   今回は本当に良いと思える

本当に良くなったと思える理由としては、

・体調の小さな変化に気づきやすくなった
(注:気づき過ぎて、神経質になってしまう病気もあります)

・調子が良くても、ノリノリではなく落ち着いている

・よく眠れて、睡眠薬がいらなくなってきた

・感謝の気持ちが出てきた

・自分のヒストリーが体系的に見えてきた

などです。

陳腐かもしれませんが、諦めずに一つ一つ
一緒に進んでゆきましょう。
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by shin710Y | 2010-02-19 20:00 | 診察風景

石の扉と木の扉

ある患者さんが、人間関係でひどく悩んでいた
時のことを例え話にして教えて下さいました。

非常に分かりやすくて、しかも文学的な表現で
感銘を受けました。
ここで、皆様とシェアしたいと思います。

長い間、ある重要人物との関係に悩んでいた。
話したいことが、全く通じなかった。

連絡路があるように見えるのだけれど、
そこに扉があって、扉はびくともしなかった。

扉は石で出来ていて、叩いても跳ね返されるばかり。
カミソリが入る隙間もなく、自分は途方に暮れていた。

本当は、木で出来ていて、隙間もあって、
押せば開くような扉であって欲しかった。

結局のところ、自分が悪いのだと思って、
自分を責めた。

気持ちを話したくなって、再び扉を
叩いてはみたが、やはり石の扉だった。

大分回り道をしているようではあるものの、
お互いの努力によって、そこにある扉は以前より
少しずつ風通しが良くなっているそうです。

こういう関係のあり方を、
私は「良い」とか「悪い」とかは申しません。

いや、修行不足のため本当はチラッと
judge していたりしないわけでも
ありませんが、
あまり意味のないことだと考えるように
なってきました。

それよりも、自分の気持ちや感情に気づくこと、
そしてそれを言葉に出来ることが、とても
素晴らしいと思います。

関係回復のプロセスを、見守りたいと思います。
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by shin710Y | 2009-11-21 17:59 | 診察風景

意外な発見

私はその方のことを、

「自分自身のことを過小評価している方だな」

と思っていました。

なぜかといいますと、

・無理難題を繰り出す相手に合わせる。

・完璧に仕事をこなそうとする。

・忙しくてしんどいのに、スケジュールを
 どんどん入れる。

このような傾向が見て取れたからです。

症状としては、
自律神経失調症状と不安症状が
両方出ていて、
公私共に一杯一杯の状況でした。

これは精神療法だけではダメだと思って、
薬も最初から使いました。

薬を使っていなかったら、もっともっと
症状はひどくなって
仕事を続けられなくなっていたかも
しれません。

さて、嬉しいことに治療が功を奏して、
一進一退はありましたが
徐々に症状が改善してゆきました。

先日、その方の努力が実を結び、
約1年間の治療を終了出来ました。

最後の診察の際、
「良くなった理由は何でしょうね」と
尋ねてみました。

その方は、快く理由を話してくださいました。

私はさらに突っ込んで、

「では、そういう風に思えるようになった
原因は何だと思われますか?」

と質問を続けました。

そして、とても意外なことを
返事してくださいました。

「結局、これが一番大きいと思うんですが、
自分のことを、過大評価していたのが
わかったんです」と。

ええ?
過小評価ではなくて、過大評価?

驚いている私に、その方が説明して
くださいました。

「要は、たかが自分、と思ったんです」

「自分がすること一つで、そんなに大したことは
起きないと思いました」

「もし自分が何かうっかりしていても、
誰かが何とかしてくれるかもしれないでしょうし」

ある朝、ふと
「何か、自分のことを、大きく考えすぎていたんだな」
と思いついたそうです。

なるほど・・・。

一見、無責任になってしまったかのごとくですが、
かえって仕事は以前より出来るようになって
おられます。

病気になる以前に比べて変わったところは、

・10割を目指さず、7割~8割位の達成率で
 次の仕事に移る。

・受身だけではなく、自分からイニシアティブを
 取って、スケジュールを立てる。

・朝早起きして、集中的に仕事をしてしまう。

・無理なことは、断る。

こういう変化が起きています。

明らかに、バージョン・アップされていて、
あやかりたいくらいです。

もちろん、これは一人の方のお話であって、
その他の方には、またその方なりの
気持ちの整理のつけ方があろうかと
思います。

診察では色々な発見があって、interestingです。

今日はもう、10月30日というのに、
午後はクーラーをつけました。
うちは、午後になると
大変日当たりがいいのです。

それでは、またの機会に・・・。
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by shin710Y | 2009-10-30 19:13 | 診察風景

おめでとう!

当院通院中の方が、先日難関の試験を突破して晴れて
かっこいい資格を取得されました。

ホントによく頑張られました。 えらい!!

「自分みたいに調子が悪かった人間でも、こんな風に元気になれた」
「誰かのお役に立てたら嬉しいから、ブログに掲載して下さい」と
有難いお申し出をくださりました。

そこで、お礼を兼ねて本日はその方の病歴をご紹介します。


発病は、8年前。
私が最初にお目にかかったのは、7年前。
まだ、私が開業する前の話です。

とある待合室の長イスに、これ以上ないくらいしんどそうな表情をして、
その方は横たわっていました。

診察した私は、7年後も主治医をしているだろうとは
想像していませんでした。

何度も深いうつに落ちてゆきました。

良くなって、安心していた時もありました。
でも、何度も急に崩れてしまいました。

薬も一杯飲みました。大半の薬は試しました。

何度も、診断書が発行されました。何度も、諦めそうになりました。
自暴自棄の時もありました。メチャクチャな時もありましたネ。

職場は退職せざるを得なくなりました。
自己嫌悪は、ひどかったです。

吹っ切れたかな、と思っていても、ゆり戻しが来ました。
やっぱり、自分は絶対治らないと思ったことも、あろうかと思います。

誰にも自分の気持ちはわかってもらえないと思ったことも、ありました。

後ろ向きなことも、随分とやっちゃいました。


それが、去年頃から、でしょうか。
段々と、自分の人生の流れの中で病気を捉えることが出来るようになりました。

封印していた感情。

とうとう、封を切った時も、自分の行動をとても後悔してましたネ。

でも、未処理だった感情が、少しずつ消化されていきました。
表情は、自然になってきました。

うつと付き合って8年。

家族の大切さが、今はよく分かる。
頭で考えるだけでなく、心でそれを感じ取ることが出来る。

自分の夢が、出来た。
目標をもって、チャレンジしてみた。

まさか試験にパスするなんて。
でも、現実なんだ。

私は、医師になってお陰さまで19年たちましたが、転勤も多かったので
自分の経歴上では最も長くお付き合いさせていただいている方のお一人です。

何度もハラハラしましたが、それだけにとりわけ大きな学びがあります。

よく、私をクビにしなかったなあ。 えらい!

これまでで、今が一番良い状態です。肩の力が、大分抜けました。
表情や雰囲気も、何かこう、うるおいが出てきたといいいますか。

これからも少しずつ、出来ることから無理をせずやってゆこうね。

本当に有難う!
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by shin710Y | 2009-05-25 20:56 | 診察風景

自分を大切に出来ない時

人に、「自分を大切に」「自分を好きになろう」と
言われる。

自分のことを心配してそう言ってくれるのはわかる。

しかし実際のところ、今はとてもそんな心境にはなれない。


そんな時は、どうしたらいいのだろう。



「自分を大切に出来ない」という、その想いを大切にする。

その想いを、否定せずにおく。バカにしない。

無理に、背伸びをしない。


そういう時があってもいいと思います。

スレスレの発想なのは承知しています。

実際の行動をどうしてゆくかは、また考えることとして、
ひとまず自分の気持ちだけは受け止めておく。

そういうことで、如何でしょうか。
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by shin710Y | 2009-02-13 20:25 | 診察風景