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因果関係の謎

自分の症状の原因が、ハッキリしない時はつらいものです。

診察していますと、これまでの経過から原因は
「まあ、これだろうな・・・」とわかっていても、
患者さんはそれにお気付きではない場合があります。

ある方は、職場の大変さを色々と説明して下さるので、
仕事が原因であることは疑いの余地がありませんでした。

①明らかに仕事による疲労が原因

しかし、ご本人の自覚はありません。
「いや、大した仕事はしてませんから」
「前のほうが、もっと大変でした」

そして、ご本人にとって原因はわからずじまいで
診察室をあとにされます。

ところが、ある時少しまとまったお休みが取れて、
体が楽になったので
「あ、やっぱり仕事で疲れていたんだ」と
納得がいったとのことでした。

それで、症状に対する不安が激減し、
調子も安定されました。

別の方の場合は、ある役員を引き受けるかどうかで、
長年悩んでこられていました。

症状も随分安定されたので、その役を
引き受けることにされました。
そして無事、やり遂げられました。お見事。

ところが、しばらくして、最近の好調さが打って変わって、
情緒不安定に。

②明らかに、役員をしたことによる疲れが不調の原因

ところが、ご本人の自覚はありません。
「いや、もう大きな行事はすんでますから」

そこで、私からはもう少し説明をしてみました。

これは、役員を終えたことによる、「荷降ろしうつ病」の
ようなものですよ。
ホッとして緊張がゆるんで、溜め込んでいた疲労が
表に溢れてきたんですよ。

仕事が済んで家に帰って、ちょっと横になってみた途端に
すごく体がだるくなって、そのまま動けなくなることがあるでしょう。

仕事=負荷が取れてOFFになったときに、
負荷がONになっていたときの疲れが出てくるんですよ。

これで、納得してもらいました。

因果関係に得心が行くと、ガクンと症状が軽くなる場合があります。

今ある症状の原因が分からない時には、
「何で、こんな風になるんだろう?」「何故?何故?あー、分からない」
という不安と混乱が加わって、もともとの症状に尾ひれがついて
雪だるま式に不安が大きくなっています。
そのため、心と体が緊張して症状が一層強くなります。

原因不明だと考えることによる不安と混乱がなくなれば、
何とか自分でも扱える範囲の症状になることがあります。

因果関係が分からないのも、症状の一つだと考えてよいでしょう。
視界が不透明になって、状況のありのままの姿が見えづらく
なっているようです。
どんな偉い人でも、疲れている時には物事を正確に判断するのが
難しくなるのではないでしょうか。

ある方は、必ずと言っていいほど同じ流れで調子を崩されて(失礼)、
水前寺清子のように奮闘努力されていました。
三歩進んで、二歩下がる、ですね!
その都度、私も同じような説明を繰り返させていただきました。

その方も、不屈の精神をお持ちです。
少しずつ、少しずつ、回復されました。

ついに、ご自分の思考・行動パターンや、それに伴う
浮き沈みの傾向を得心されたようです。

その方いわく、
「(自分で得心する前に)言われると、反発しちゃうんです」

なるほど。
大変、失礼しました。

でも、反発するのも、才能かもしれませんね。
転んでも、タダでは起きないというか。

以上、ご参考になれば幸いです。
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by shin710Y | 2011-01-28 20:50 | 診察風景

今年もよろしくお願いします

年も明けまして、皆様におかれましては
如何お過ごしでしょうか。

世の中も、精神医療も、混沌とした状況が次第に顕著に
なってきておりますが、そうした中におきまして、
物事をなるべくシンプルに整理整頓してゆくことが
必要かと考えております。

健康管理のために良いと言われてきた長年の知恵や知見を
再認識しつつ、現代医療の長所を活用してゆければと
思っております。

本年も、微力ながら皆様のお役に立てますように
精進させていただきますので、どうぞよろしく
お願い申し上げます。
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by shin710Y | 2011-01-13 19:38 | 日記