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職場や学校で出来るストレス対策

今日の診察で、患者さんから
「どうすれば、職場に居ながらにしてストレス対策が出来ますか?」
とご質問を受けました。

この質問をしてくださった患者さんは、
認知療法を現在練習中の方です。

そこで、認知療法のお話を中心にして、
私なりの考えをこれから述べてみたいと思います。

何かストレスがたまる状況があって、
そのためにネガティブな感情が起こっているとします。
その時、「これは理不尽だ」とか、「自分は嫌われている」などど
マイナスなことを考えています(思考)。

身体的には、食欲が落ちたり、頭痛がしたり、動悸がする
場合もあるかもしれません。

状況にうまく対応しきれず、そんな自分にまた
腹が立つこともあるでしょう。

認知療法では、

①ある状況
→②ある考え(思考)を引き起こし
→③その考えがある気分(感情)を作る

と考えます。

では、どうしたらよいのでしょう。

上記①②③の順番通りに対策をたててみます。


①その状況そのものへのアプローチ
→解決力を高める

この状況はスキルアップのための訓練だと考えて、スキルアップを図る。
スポーツ感覚で、苦手な箇所の改善を図る。

明るくリベンジするための準備をする。
今度また同じようなことがあったら、今より上手く対応してやるぞ!

ゴシゴシと、刀を磨くのです。
エレガントな解決策、技を磨きます。

②その状況をどう考えるか
→新しい解釈や意味づけをして、考えていることの
 幅を広げる

ここで、認知療法を生かします。

確かに、自分が考えていることにも一理あるでしょう。
ただ、それが唯一の考え方ではないかもしれません。
プラスの側面を見落としているかもしれません。
それを、振り返ってみます。

マイナス一辺倒で片手落ちになってしまわないように、
プラスの側面も自分の考えの仲間に入れてあげます。

そうやって、考え方のバランスを取ります。

「認知再構成」といいます。

私がおすすめしていることは、
「この状況で、何に感謝出来るか」を考えてみることです。

心理的なストレスというのは、対立した状況で発生します。
競争の世界に住んでいるときに、ストレスがあります。

一方、感謝は調和した世界を作ります。
感謝できればできるほど、ストレスが減ります。

たとえ、もう最悪!と思っていても、最後は、
「でも、●●●なのは、有難いな」と思う練習をするのです。

わけがわからなくても、いきなり結論から入って、
「有難いな・・・」とつぶやいてもいいです。

何が有難いのか、さっぱり分からなくても、それでも
「有難いな・・・」と言ってみます。

すると、脳が「さて、一体何が有難いかな」と
考え始めてくれます。

そうすると「確かに、こういう面では有難いことだな」
と、有難い理由が浮かんでくることがあります。

こういうお話をすると、
「でも、それって、すごく難しいですよね」
「かえって、ストレスがたまりそう」

と言われることもあります。

有難うございます。
これって、難しいですよ。

うつ病の方の場合、大分良くなってから
認知療法をしたほうが得策です。

急性期の苦しい最中には、
とてもではありませんが、こんなことは
出来ないでしょう。

強いうつ状態では大脳の糖代謝が低下していて、
新しい解釈をするとか、感謝するといった
クリエイティブな思考をする能力が落ちて
しまいがちです。

そんな時は、薬物療法や休養が重要になります。
生活指導もします。
良くなってきたら、認知療法をします。
治療は、ステップ・バイ・ステップなのです。

さて、大分お元気になったあかつきは。
その方の性格や好みにもよりますが、
認知療法を少しずつでも取り入れてみるのも
一つの方法です。

さて、例によって「感謝」。

私は、まだまだ白帯です。
実際に見てみれば、お判りでしょう。
でもいつか、ブラックベルトを取りたいと思っています。

白帯なのですが、黒帯になるのを待っていたら、
一体いつになったらこれを患者さんにお伝えできるように
なるのか。

「善は急げ」と言いますので、ご紹介させていただいて
いる次第です。

感謝は、練習を続けることがポイントだろうと思います。

③生じてしまったネガティブな感情そのものへの
アプローチ
→身体的アプローチと癒しのアプローチ

身体的アプローチとしては、
深呼吸や、簡単な体操をして気分転換を図るのが
よいでしょう。
リラックス出来るストレッチもいいです。
ラジオ体操を少ししてもいいでしょう。
職場の雰囲気で、カッコ悪ければ、
深呼吸くらいなら出来るのではないでしょうか。

癒しのアプローチとしては、
自分を許すこです。
失敗した自分、立ち直れない自分を許すのです。

「今回は、ダメだ。でも、次につながる」と
考えられると、いいですね。

ここでの反論は、次のようなものです。

自分を許すだなんて、甘やかしじゃあ、ないんですか?

そうかも、しれません。

そうかもしれませんが、しかし自分を許すということは、
言い逃れをして責任を回避したり、居直ることを
申し上げているのではありません。

相手に対して、もし謝るべきことがあるのなら、
そこは潔く誠意をもって謝るべきでしょう。

自分を許すということは、あくまで感情レベルの
問題です。

行動としては、謝るべきことは謝るのです。

その上で、自分を許してあげて、早く立ち直って
早く敗者復活戦のステージに立つ。

自分を許すことは、少しでも早く前向きな行動を起こすことに
つながっていくのです。

ですから、これは甘やかしとは、違うと思います。

むしろ、いつまでも自分を責めて、自分を裁き続けて、
ずっと落ち込んでいることのほうが、苦しみも大きいですし、
何も出来ずに事態が改善してゆかないのではないでしょうか。

自分を許すことです。
落ち込みをどうしても回復させられなかったら、
そんな自分を許してあげてください。

最後の最後は、許す。
1日落ち込んだら、そんな自分を許す。
1週間落ち込んでも、許す。
1か月でも。
1年でも。

敗者復活戦は、用意されるのです。

今回は、これにて終了といたします。
お付き合いいただいて、有難うございました。
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by shin710Y | 2012-12-21 22:16 | クリニックの様子

おいしく食べて痩せる方法

食べたい、でも痩せたい。
出来れば、目一杯食べて、それでも痩せたい。

よく考えると、実は私もこんな都合の良い願望を持っています。
私の場合は、酔っぱらっても二日酔いしないお酒が欲しいです。
出来れば、飲み会でベロンベロンに酔っぱらっても、
それでも次の日にスッキリと起きて快調に仕事をしたいです。

まあ、明らかに矛盾しています。
この連立方程式は解けないように見えます。

でも、本当に解決策がないのかしら。

以前、「どん詰まりからの数学的脱出」
(2008.10.14)と題して少しご紹介しましたが、
少なくとも数学の問題に関しては、
すべてのn次方程式には解があります(ガウスの定理)。

たとえ難しい問題ではあっても、答えのない問題は、ない。

しかし悲しいかな、5次方程式以上の方程式は、
代数的には解けません(ガロアの定理)。
答えがあることはわかっているのに、その答えが出せないのです。

では、どうするのか。

代数的方法を超えた、もっと高次元の超越的な方法を用いれば、
答えを出せるかもしれません。

数学の世界から目を離して日々の生活レベルで考えてみれば、
我々の日常には何らかのストレスがあり、
それを手っ取り早く解消したくなります。

それで、つい食欲に走ったりお酒をあおってしまうのですが、
本当は、ストレスそのものは食べてもお酒を飲んでもなくなりません。
ストレスを、一時的にごまかしているのです。
むしろ、食べたりお酒を飲むことが、新たなストレスにも
なってしまいます。

対症療法の限界です。
あたかも、代数的方法をもってして、
5次以上の方程式を解こうとするが如し。

川の流れに例えると、川上にストレスがあり、
そこで汚れが発生し川下に流れてくる。
川下に流れてきた汚れをカモフラージュしようとして
食べる、飲むという構造です。
原因である川上にはアプローチ出来ていない。

そもそも、何がストレスになっているのか。
原因がわからないこともあります。
場合によっては、原因は無意識の底のほうに抑圧されていて、
頭で考えただけではわからないかもしれなません。

ただ、何かをストレスに感じているとき、心の中には
何らかの対立が生じています。
例えば、人間関係のストレスとは、
お互いの関係が対立した状態で生じます。

その時は、自律神経の中でも交感神経の働きが優勢になります。
「食うか、食われるか」「戦って勝つか、逃げるか」という状態です。

当然、心も体も緊張します。リラックスとは反対の状況です。
緊張が続けば、心や体に様々な不調が発生します。
その不調を紛らわすために、お酒を飲むのです。
お酒で、一時的に開放されます。

私も今でも時々飲みますし、20代の頃は結構飲んでいました。
好きです。

ただ、残念ながらお酒は心身を健康にはしてくれません。
夜の睡眠では、お酒は寝つきを良くしてくれても
その後の睡眠の質を低下させてしまいます。
実は、お酒は精神不安定剤なのです。

困りましたね。一体どうしたら良いのでしょう。

食べ過ぎやお酒の原因となっている
ストレスをなくす一番の方法とは。

以前にもご紹介しました。
ストレスをなくす究極の方法、それは「感謝」です。

こういう話を聞きたくない人も、中にはいるかもしれません。
ですが、ここを理解できれば、これからの生活が
大いに豊かなものになると思います。

感謝の反対とは、「当たり前」という考え方ではないでしょうか。
必要なものがあるのが、当たり前。
与えられているものに目が向かないで、あるのが当たり前。
有難味は、ありません。

あるものではなく、ないものに目が向きます。
あれがない、これがない。
心の中に、不満や不平が生じます。
ストレスが非常にたまりやすい状態です。

そこで、ないものではなく、あるものに目を向けることが大切になります。

先週ですか、NHKのニュース番組「ニュースウォッチ9」で
車いす会社の社長さんである春山満さんのインタビューを拝見しました。

「ないものを数えるのではなく、あるものを数えろ」

人生の極意を教えていただきました。有難うございます。
春山さんのサイトに行ってみてください。
インタビュー映像も見られるようです。

感謝を脳科学的にみると、多分どこかの学者先生が
すでに解明されているとは思うのですが、
「報酬系」と呼ばれるA10神経回路にドーパミンが
流れているのではないかと思われます。

いい気分になります。

報酬系は、別名「快感回路」とも呼ばれています。
自分にとってのご褒美をもらった時に動く回路です。

感謝とは、自分に与えられているものに気づくことと言えましょう。
自分に与えられたものは、当たり前に与えられたのではなく、
有難いものなのです。

有難い。
「有ることが困難であること」、すなわち有難いことです。

別にドリームジャンボでなくとも、
本当は私たちの身の回りにあるものは
有難いことに満ち溢れているのです。

食事を有難く感謝していただく。
ああ有難い。もったいない。かたじけない。

まだまだ至らない自分であるにもかかわらず、
それでもなお、こうして今日も食事が与えられた。

「有難いなあ・・・」と思いながら、
同時に「うざいな」「クソ」「許せねえ」「ここで会ったが百年目」
などと対立した感情を持つことは、難しいですよね。

そうなのです。感謝とは、対立を超越した想念なのです。
したがって、そこに対立はなく、穏やかで平和な世界が展開します。
対立とは次元が異なるのです。
ストレス食いする必要など、なくなってしまいます。

農家や流通業者、その他皆さんの立派なお仕事によって、
何よりも大自然の恵みによって、今目の前に食事があるのです。
今日もお食事をいただけることは、まことに有難いことなのです。

お酒もしかり。良かったです。
今日もこうしてお酒が飲める。

ヤケ酒ではなく、感謝のお酒です。
そうすれば、多分深酒などせずに、ほどほどに
切り上げられるのではないでしょうか。

(なお、アルコール依存症の方の場合は、節酒は無理です。
断酒しか、ありません)

私も体調管理に気を付けてみますので、ご参考にしていただければ幸いです。
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by shin710Y | 2012-12-07 13:58 | こころの健康