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誰かとの関係が悪く、今とても悩んでいて、苦しいとします。
実際に、人間関係の悩みは、職場のストレスとして最も多いものです。 そのため、人間関係の悩みや苦しみが診察場面で取り上げられることは多いです。 そこで、 「そういうのは人生相談であって、診察とか治療とかとは違うのではないですか」 というご質問を時々受けます。 人生相談と、診察・治療の違いは、次の3点に集約できます。 ① 診察では、医学的な見立てがあります。 診察では、その人の苦しみの度合いを見立てて、その度合いに応じた対応をします。 一般の人生相談では、病気の診断は出来ません。 もっぱら個人的な体験に基づいたアドバイスに限定されると思われます。 人間関係の苦しみは程度によって、次の3段階に分類できると考えています。 苦しいが、健康なレベル ↓ 健康と病気の中間レベル ↓ 病気レベル どのレベルの問題なのか、それをご一緒に検討して、 当方の見立てをお伝えします。 どのレベルの問題であっても、ご来院いただいた以上は、 当院として出来ることをさせていただきます。 健康なレベルであれば、例えば今後病気を予防するために 気をつけていただく点についてのアドバイスを行います。 今の自分の苦しみが、うつ病というほどには至っていないと分かって 安心される場合もあります。 逆に、今の苦しみは治療対象となる病気の症状だと分かり、 対応の方向性が見えて安心される場合もあります。 ② 診察には、一定の「型」があります。 (ⅰ)診察は、明らかな目標をもって取り組みます。 ・今お困りの人間関係に対処する方法をご一緒に見つけていくことで、 症状を和らげていくことを目標とします。 ・特に重要と思われる問題について、絞り込んでいきます。 ・過去の問題ではなく、現在起こっている問題に優先的に取り組みます。 ・患者さんご自身が生活の場でよりよく対処できるように、 サポートさせていただきます。 (ⅱ)次に、診察の流れについて、型があります。 何となく、お話をお聞きすることはありません。 お話をお聞きして情報を集める ↓ 問題を整理して、絞り込んでいく (診断と、病気の程度も見立てていく) ↓ 問題への対応策を、ご一緒に考える ↓ 対応策を実行してみる ↓ その結果を検証する ↓ 必要に応じて、軌道修正していく (ⅲ)最後に、お話の聴き方にも、型があります。 相談者の心を開いて頂けるように、共感しながらお聞きします。 次に、適宜こちらからも質問し、話の焦点からそれていかないように、 誘導していきます。 また、相談者の視野を広げるために、 認知療法などの心理療法の要素も取り入れながら、お話をお聞きします。 ③ 診察には、医学的・心理学的な説明やアドバイスがあります。 睡眠や食事、運動に関して、助言します。 病気と診断されれば、その病気の特徴について、ご説明します。 人とのコミュニケーションの取り方について、 心理学の知識にもとづいた助言も可能です。 もちろん、お薬を使う場合は、お薬に関する説明も行います。 以上をまとめますと、診察では単なる相談と違い、 ①見立てがあり、②型があり、③医学的な説明やアドバイスがある、 ということになります。 ▲
by shin710Y
| 2015-02-13 20:29
| こころの健康
人生に、悩みや苦しみはつきものです。
健康な人にも、不安や恐怖はあります。 「トム・ソーヤーの冒険」の著者、マーク・トウェインはこう言いました。 「勇気とは恐怖への抵抗であり、恐怖に打ち勝つことである。 恐怖がないことではない」 誰しも、時には悲しみやショック、心配などで、 なかなか気持ちの整理がつかないこともあると思います。 あるいは、食事がのどを通らない(食欲の低下)、 眠れない夜を過ごす(不眠)、全身がだるい(全身倦怠感)などの、 体の症状を伴うかもしれません。 このような心身ともに辛い状態を来していても、 それが一過性であるならば、まあ健康と言えるでしょう。 今は正直しんどいのだけれども、 そのうちまた何とかなるのかなと思えていて、 食欲や睡眠などの体調が普通で、 仕事や家事、勉強が大体こなせていれば、 必ずしも治療の必要性はないでしょう。 しかし、苦しい期間が少し長引いている、 あるいは、良くなったり悪くなったりを繰り返す、 どうもすっきりとしない状態が続いている場合は、 健康と病気の中間、 いわゆるグレー・ゾーンに入っている可能性があります。 この段階ですと、自然に軽快していく可能性もありますが、 そうとも限りません。 医療機関に受診されるのも一つの方法です。 その際は、心療内科や精神科ではなく、体調の問題を気にされて、 内科や整形外科、脳神経外科、婦人科に受診される方が多いようです。 心療内科でも、もちろんお役立てできることがあります。 一方で、明らかな病的症状というものもあります。 例えば、気分がゆううつな場合、 これがほとんど毎日、一日中、2週間以上も持続しているとなると、 うつ病である可能性があります。 健康な人が経験している不安も、 度を越して行くと、病的な不安へと発展していきます。 正常な不安ではない、病的な不安とは、次のような場合をさします。 ・特に理由もないのに、強い不安がある。 ・パニックなどの、心がかき乱されるような激しい不安がある。 ・不安が一時的ではなく、予想をはるかに超えて長く続く。 ・動悸や呼吸困難、震えやしびれなどの、不快な身体的症状を伴っている。 ・生活に大きな悪影響がある。 これらの点がたくさん当てはまれば当てはまるほど、 病気の症状と言えるでしょう。 つまり、あなたが心配されている症状が、 ある病気の症状の記載(特に厚生労働省や医療機関のサイトの記載)と 同じであるだけではなく、 その症状の程度が強く、長く、生活に悪影響があり、行動力を落としている場合、 病気の症状である可能性が高くなっていきます。 このような段階であれば、心療内科や精神科の門をたたかれることを お勧めします。 自分が結局どのような段階なのか分かりにくい場合も、 一度受診されるのもいいかもしれません。 基本的に、お一人お一人のご判断にお任せしております。 ▲
by shin710Y
| 2015-02-06 20:28
| こころの健康
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